Moderato quasi Andantino

演奏するのも聴くのも大好き!楽典、ソルフェージュに西洋音楽史、クラシックに関することはなんでも知りたい音楽愛好家のブログ

室内楽

普通に音楽教室でピアノを習っているだけではあまり触れる機会のないアンサンブルの曲。今回はアンサンブルの中でも重要な演奏形態の1つ、「室内楽」についてのお話です。


ピアノって、ソロでもアンサンブルでも非常に重要度の高い楽器です。


http://mopianic.hatenadiary.com/entry/2017/04/06/004618


この記事でもご紹介した通り、特に伴奏楽器としての需要が非常に高いです。ギター伴奏で弾く曲もありはしますが、多くの人は伴奏と聞くとピアノを想像することでしょう。


ピアノが他の楽器と共演するのは伴奏だけではありません。ピアノ〇〇奏と名前が付く室内楽も、大切なピアノ曲のジャンルの一つです。


そもそも室内楽ってなんなんでしょう。英語では chamber music と言われる室内楽、その演奏形態は、例外はあれど基本的に1つのルールの上に成り立ちます。そのルールとは、


複数の楽器がそれぞれ違う音を演奏する


というものです。つまり、5人いれば5パート、10人いれば10パート楽譜が存在する音楽が室内楽です。バイオリンソナタなどの2人で演奏する曲も、ピアノとバイオリンの室内楽と捉えることができます。(大抵はピアノ伴奏付きのバイオリンソロ曲という扱いですが...)基本的に指揮者はいません。


室内楽の曲を演奏する上で私が恐ろしいと感じることは、


(1)ソロと違ってどんなに悲惨な間違え方をしても弾きなおしたり止まったりできない


(2)オーケストラと違って誰も自分と同じパートを弾かないので自分の演奏が止まってしまうと1パート分音が消えてしまう


この2つです。


(1)ソロと違ってどんなに悲惨な間違え方をしても弾きなおしたり止まったりできない


もちろんソロ演奏にも同じことが言えるのですが、ソロ演奏の場合の「弾きなおしができない」は「弾きなおすべきではない」という意味で、ぶっちゃけ弾きなおしたければ弾きなおせます。聴衆の心証は悪くなるでしょうが、演奏者の決断次第ということです。一方、室内楽、といういうよりアンサンブル全般に関して言えることですが、複数人で一緒に演奏する場合の「弾きなおしができない」は、ソロと違ってやりたくてもできません。どんなに聴衆に嫌われる覚悟があったとしても、共演者がいるので、音楽は自分の演奏が止まっている間も進んでいます。弾きなおすとなると、


「ちょっとストップ!!ごめん、〇〇小節目の〇拍目からもう一回!」


みたいな会話が必要になります(笑)普通に考えて本番ではありえません。とにかく間違えても止まっても楽譜を追い続けなければいけません。うまく入るタイミングが掴めなければ、丸1ページ弾かずにすぎてしまった、ということもありえるのです。


(2)オーケストラと違って誰も自分と同じパートを弾かないので自分の演奏が止まってしまうと1パート分音が消えてしまう


ピアノ演奏者にはあまりピンとこないかもしれませんが、オーケストラと比べた時に生じる室内楽の難しさです。オーケストラって基本複数の演奏者で1つのパートを演奏します。つまり自分が弾けなくても周りの演奏者が同じ音を弾いているので、自分も弾いてるフリでごまかすことができます。結構聴いてる人にバレますが、なってる音自体にはさほど影響はありません。実際、オーケストラの譜めくりは、2人で1つの楽譜を見て、1人が譜めくりしもう1人が演奏を続けることで、演奏を止めることなく演奏者自身で譜めくりしています。

ですが室内楽は、そのものの定義通り1パートにつき演奏者は1人なので、誰か1人が弾くのをやめると、そのパートの音が丸々消えます。弾いてるフリでごまかすことができません。


なかなかハイリスクな室内楽ですが、それを上回る魅力があります。自分1人で練習するときと、みんあで合わせるときの音の違いって、とっても感動的です。


もちろん、自分のパートを練習するときは他のパートの音もイメージしながら練習するし、CDを聴いてみんなで合わせたらどんな音がなるのか知った上で練習するのですが、実際に自分がピアノを弾きながらみんなで合わせた音を聴く瞬間、


「ああ、こんな音がなるんだ」


と私はいつも感動します。

聴衆として聴く室内楽と違って、自分が音楽の一部を担ってる時に聴こえる音って、独特の性格があります。かけたパズルのピースを埋める感覚とも言えるし、違う色の水彩絵の具を順に重ねていくような感覚を味わうこともあります。

その何色も重なった水彩絵の具は、綺麗にまざって澄んだ一色になることもあれば、かき混ぜられても混じり合わずにマーブル状になることもあります。どっちになるかは自分1人での練習の時には想像しかできないんです。想像通りの音がなることもあれば、まったく予期しなかった音になることもあります。聴衆として共演者の輪の外で聞いた時には感じることのない音の混ざり具合を、演奏者は肌で感じるのです。


演奏も楽しいですが、もちろん聴くのもとっても楽しいです。室内楽ってマイナーですが、意外と名曲ぞろいです。曲そのものの素晴らしさはもちろんのこと、演奏者同士の意思疎通を「聴く」ことも、室内楽の面白さの1つです。当然演奏者は演奏中に喋ることができないので、弾き始めは目や呼吸で合図をします。それぞれのセクションで、どのパートを目立たせるのか。1つのメロディーに対して、他のパートは下から支えているのか、それともそのメロディーに対する受け答えとして対等な立場を保っているのか。そういうこともアインコンタクトや呼吸、なってる音から読み取ることができます。言葉を使わない会話を聞くことができます。オーケストラと違って指揮者がいないので、全員が対等に主張することができる状況で、どういうまとまりを出しているのか。室内楽の魅力はここにあると思います。音の喧嘩を楽しむこともあります。室内楽ならではの楽しみ方です。


室内楽は、弾いても聴いても楽しいです。知名度は低いですが、クラシック音楽において、とても重要な位置にあるジャンルだと私は思います。弾くのは共演者探しからなのでなかなか機会がないかもしれませんが、聴くのはすぐにできるので、室内楽を聴いたことがない方は是非聴いてみてください!


ピアノを含む室内楽のキーワードは


ピアノ三重奏 (ピアノトリオ Piano Trio)


または


ピアノ四重奏 (ピアノカルテット Piano Quartet)


です!日本語読みではカルテットですが、実際の外国人の発音は「クヲーテット」なんですよね。通じなくて焦った経験があります^^;


室内楽の魅力のご紹介でした!室内楽に興味を持っていただけたら嬉しいです*^^*

私もまたやりたいな〜。