Moderato quasi Andantino

演奏するのも聴くのも大好き!楽典、ソルフェージュに西洋音楽史、クラシックに関することはなんでも知りたい音楽愛好家のブログ

伴奏者としてのピアニスト

ピアノが弾けると、中学校の合唱などで伴奏をお願いされることがよくありますよね。私も中1の時にやりました。合唱だけではなく、ほとんどの楽器はピアノ伴奏と一緒に演奏します。ピアノが伴奏をする曲は2種類あって、一つがピアノとソロの楽器のために書かれた作品、そしてもう一つがオーケストラとソロの楽器のために書かれた作品です。後者はソリストが練習するたびに毎回オーケストラを呼ぶわけにはいかないので、オーケストラのパートをピアノで弾ける様に編曲したものを伴奏として弾きます。通称orchestral reduction。アレンジにもよりますが、大勢で弾くものを一人で弾くことになるので当然難しいです。

 

協奏曲の伴奏は、作曲者自身がピアノ譜に編曲したものもあれば、ほかの音楽家がアレンジしたものもあります。伴奏者が誰によるアレンジかまでは気にすることはあまりありませんが、アレンジが何種類かあって自由に選べる(楽譜が手に入る)場合、どれを選ぶかによって難易度が大幅に変わってきます。特にモーツァルトの協奏曲、バッハのバイオリン協奏曲は、あるアレンジはそこそこの腕前のピアニストなら初見で弾ける程度のレベルなのに、ほかのアレンジだと音を抜かないと弾けないほど難しかったりします。

ここでは大まかに、簡単なアレンジと難しいアレンジに分けてみますね。

どちらにもメリットとデメリットがあって、簡単なアレンジのメリットはもちろん弾きやすいこと。デメリットはオーケストラの音を再現しきれないことです。簡単なアレンジだと弾く音が少ないので、弾かないオーケストラのメロディーもあるわけです。難しいアレンジはその逆。弾きにくいですが、オーケストラの音の再現度は高いです。

協奏曲の伴奏は、完全に”伴奏者”としての伴奏です。ここで書くと意味不明ですが、これは冒頭で紹介した”ピアノとソロ楽器のために書かれた曲”に対して、協奏曲の伴奏というのはピアニストの立場が完全に脇役だ、ということです。もちろんオーケストラだって協奏曲の大事な要因。ソロがオーケストラの伴奏をするセクションだってあるし、ソリストとオーケストラは音楽的には同等の立場です。でも、主役ではないんです。協奏曲のピアノ伴奏はそのオーケストラの代役。当然主役ではありません。私も協奏曲の伴奏をしたことがあります。たまに「伴奏のほうが難しくね?」って思うこともありますが、それでも伴奏者は主役ではないんです。送られる拍手は先にソリストに向けられるのです。伴奏者は脇役なのです。どれだけ難しくても脇役なのです。

 

協奏曲の伴奏がいわゆる"裏方"であることに対し、最初からピアノとソロ楽器のために書かれた曲、主にソナタですが、こちらはピアノパートもソロ楽器と同じくらい重要です。当然目立つのはソロ楽器になることが多いですが(ソロ楽器はピアノの前で演奏しますし)、音楽的にみて、こちらのタイプの曲は「ソロとピアノ伴奏」ではなく、「ピアノとソロ楽器のデュエット」なのです。演奏する際、奏者2人の音楽解釈の一致は協奏曲の伴奏ではそこまで重要視されませんが、「デュエット」では必要です。一致とまではいかなくても、お互いの解釈の仕方を知っておくことは絶対条件です。演奏後お辞儀をする際どうしても脇役感は拭えませんが、それでも奏者は自分もソリストの1人であると自信を持っていいのが「デュエット」でのピアノ伴奏だと思います。


2種類のピアノ伴奏について紹介しましたが、伴奏が好き!という方はどちらの種類の伴奏が好きですか?私は伴奏大好きで、どちらかというと協奏曲の方が好きです。縁の下の力持ちってかっこいいですからね。あともう一つ、大きな声では言えない理由がありまして。それは、音を自由に変えられることです。自由といっても、曲調や和声が変わらないようにしなければいけないので楽典の知識は必要ですが、何せ協奏曲の伴奏はオーケストラの楽譜をピアノにアレンジしたものなので版によってはとっても難しいんです。まあ、10を超える人数で弾くものを1人で弾くわけですから当然なのですが。簡単な版は、そこまで重要でない音を根こそぎ落として大事なメロディと低音だけ残してるのでとても弾きやすいですがなんか物足りない。そんな時は原曲を聴いたりスコアを見たりして弾けそうな音を追加します。逆に難しい版、つまり、人間に手は2つしかないということを全く考慮していないような、オーケストラの音全部詰め込んだチャレンジャー向けのアレンジの場合はそこから弾きにくい音を抜いていきます。私は断然後者です。初見の時が一番難しくて、弾けば弾くほど簡単になっていくのが爽快!たまに、親指と小指が取り外し可能な人向けか!と思うような和音があったりしますからね。音を変えて弾きやすくなると練習が楽しくなります。


デュエットの伴奏も捨てがたいです。ですがデュエットの場合、私はソロのつもりで練習するので、楽しく!とはいかずいつも緊張感マックスです。本当に1人で弾くソロよりはデュエットの方がいいけど、やっぱり一番好きなのは協奏曲かな。自分の手に合うように音を変えるのも楽しいし。当然バイオリンソナタのピアノ伴奏とかだと音は変えられませんから!笑


というわけで、ピアノ伴奏についての私なりの意見でした。いろんな形態で楽しめるピアノっていいですよね。さすが楽器の王様!

いつか私の協奏曲伴奏の音の変え方とかも紹介したいと思います^^